2009年1月20日火曜日

ピンクのリサイクル袋


● ピンクのリサイクル袋


 子どもの成長と共に自然と溜まってくるのが衣料。
 大人物も当初日本から持ってきたものでも気候がまるで違ったり、生活習慣が異なったりで使わずに物入れに入れっぱなしにしているものもある。
 日本なら電車に乗るのにみっともない格好はできない、という先入観がある。
 ここはどこへ行くにも車なので、まるで衣服に気を使わない。
 普段着とスリッパでショッピングセンターに出かけていってしまう。
 そんなこんなで溜まっていく。

 体型や大きさからいってこちらの人とは違うため、どうしても日本のものになる。
 逆にいうと、我が家で使えなくなったものはどこでも使えないということになる。
 こちらの人は使えなくなったものをガレージセールで処分する。
 そこそこ買い手があるらしい。
 よく、ショッピングセンターの案内板に公立小学校やハイスクルールの制服が安値で売っているカードが貼られている。
 こちらでは小学校から制服があるが、ピラピラな安物である。
 それを卒業していらなくなったからと売っている。
 日本なら捨てて処分しても別にどうということもない代物である。
 体の小さい我が家の子どもたちは、それを縫い直して着ていた。
 制服なので、別のもので済ますわけにもいかない。

 そういえば、ハイスクールの卒業式は「フォーマル」という。
 みなドレスアップして参加する。
 そのドレスを借りるお金がなくて、フォーマルに参加できなかった子がいた。
 三つ子なので三人分で費用がかかりすぎるという。
 彼女たちは家計を助けるため、夕方から夜にかけては、ピザパイ屋さんで働いていた。
 公立学校ともなるといろいろな子がいる。
 よって卒業後の彼女たちの制服も、売られたのではないだろうか。
 ということは、それを買う家庭もあるということである。

 子どもの成長とともにいらなくなった衣料は、もし使えたら使って欲しいと思い、「リサイクルビン」に入れていた。
 ショッピングセンターの横や人の集まる公共施設の片隅に置かれていた、高さ1.8mくらい、幅奥行き1mくらいの鉄板で造られた箱である。
 リサイクルの団体が複数あるのだろう、3つくらいほど肩を並べて置かれていた。
 住んでいる地域には4カ所あった。
 あるとき、それに入れようと思いビニールの手提げに不要になった古着をつめて近くの公営プールの広場へ行った。
 が、鉄の箱は撤去されてなかった。
 ならば別のところでとグルグル回ったが、すべてきれいさっぱりなくなっていた。
 
 なぜだろう、と思っていたら理由があった。
 イタズラがはやったのである。
 紙に火をつけてこの箱に放り込むイタズラであった。
 なにしろ鉄板である。
 箱の中のものは燃えるが、外にはもれない。
 火事になる心配はない。
 はやるわけである。
 やるほうは面白いだろうが、やられたほうはたまらない。
 とんでもないイタズラである。
 危険なので、すべてのリサイクルビンは撤去されてしまった。

 このタイプのイタズラを大仕掛けにやった犯罪があった。
 ちょっと蛇足ですがコピーしておきます。

★ 25today 2008年12月13日
「キャンベラでもATM爆破」
http://www.25today.com/news/2008/12/atm_6.php
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 4州都で30件近い同一手口

 12月13日午前2時半頃、キャンベラ南部のフィリップで、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の自動現金支払機(ATM)が爆破された。
 この事件で道路を隔てた向かい側の建物の窓も損壊し、破片は100m以上にわたって散乱した。
 これまでにもメルボルン、シドニー、ブリスベンなど州都やその周辺地区でもATMを爆破し、内部金庫の紙幣を奪おうとする事件が30件近く起きており、VIC、NSW、QLD州の警察がすでに合同捜査体制で事件を追っている。
 今回の事件では、ACT警察はまだ他州の事件との直接的なつながりはないものと見ている。
 警察では、「現在のところ、爆破による負傷者はいない模様」と発表、事件の目撃者2人から事情を聴取しているが、他にも目撃者がいれば警察に連絡してほしいと呼びかけている。
 先週には、ブリスベンでのATM爆破事件に関連して、シドニーの男女2人がゴールドコーストで逮捕されている。
 QLD州警察のマイク・コンドン長官は、「週末のATM爆破強盗と、NSW州、VIC州での25件のATM爆破事件の関連を捜査中だが、VIC州でのよく似た手口の1件と、NSW州での24件に注目している。
 これらの犯罪はいずれも2008年前半に起きた事件だ」と語っている。
 先には、コモンウェルス銀行が、「ATMのカード挿入口などから可燃ガスをATM装置内に流し込み、充満したところで点火爆破する手口が使われているため、ATMにガス検出器を取り付ける」と発表している。(AAP)


 日本でも現金引出機をブルで基礎から掘り起こして盗んでいく手口があった。
 爆破とはなんと粗暴な、とても日本では考えられない手口。
 続報は下。


★ 25today 2009年1月16日
「ATM連続爆破事件で初の逮捕者」
http://www.25today.com/news/2009/01/atm_7.php
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 犯罪関連の証拠品も押収
 1月16日朝、NSW州警察はシドニー西ピアモントのワトル・クレセントにあるアパートを家宅捜索、25歳の男を逮捕した。
 男は、2008年11月12月にクロベリー、チェスター・ヒル、ローズで起きた現金自動支払機(ATM)爆破現金盗難事件に関して取り調べを受けている。
 事件のATMは、現金やカードを通す狭い口から可燃ガスを注入され、ガスが機械内部に充満した時に点火して爆発させるという方法で爆破されている。
 また、男は、2008年9月17日以来、シドニー一帯で発生したパブ、クラブ、薬局などを襲う凶器強盗事件についても事情聴取を受けた。
 その後、違法武器または危険な武器を所持した凶器強盗、窃盗、空き巣狙い、火災爆発による器物損壊、銃器短縮などの容疑で送検された。
 1月16日、裁判所では保釈を却下され、同日シドニー中央地裁に再度出廷することになっている。
 警察は、違法薬物少量の他、ATM爆破および凶器強盗に関係しているとみられる物品を発見したと発表している。(AAP)

 この手口であちこちのATMが狙われているようです。


 撤去されたリサイクルビンの代わりに行われ始めたのがピンクのリサイクル袋。
 下はその袋のアップ。
 「GOOD USED CLOTHING」、きれいな古着歓迎、といったところか。
 他に、おもちゃ、本、雑誌、靴、家庭用品、その他物品とある。

 「MONDAY」と日付が印刷されている。
 この袋は回集予定日の数日前にポストに入っていますので、次の月曜日にポストの下においておいてください、ということである。
 回収日によって袋の印刷曜日が異なってきます。
 大きさは、トップの写真でタイル3枚がちょうと1mになりますから、概略わかると思います。




● 袋に印刷されている文章アップ


 クロスビンは3つの団体組織がありましたが、このリサイクル袋での回収作業をやっている組織は一つしかないようです。
 というのは、このピンクの袋以外に見たことがない。

 早速、不用になった衣服を詰めて、月曜日の朝にポストの下においた。


● 不用になった衣類を詰めてポストの下においたリサイクル袋

 隣の家でも出している。
 1つでは収まらないので、別に白い袋にも詰めてある。




● 数軒先の家でも。

 あちこちで出している。
 上の家では2つ出しているが、2枚目もピンク袋である。
 おそらく以前に配られたものを使っているのだろうが、逆向きにおいてある。
 印刷されている曜日が違うのだろう。

 回収された衣料はどうなるのだろう。
 より分けられて、使い物にならないものは機械工場のウエスとして払い下げられるようです。
 使えるものは、災害が発生したとき緊急で被災地に送るためにストックされたり、施設や難民キャンプなどに送られることもあると聞いています。
 さらによいものは、街中で販売されて、団体の運営資金となっています。


 以前にその販売をしていた場所を知っていましたので、改めて行ってみました。
 これを書いていて、果たしてまだ、行われているだろうかと気になったのです。


● 以前にリサイクル衣料を販売していた倉庫。

 残念なことにありませんでした。

 前はこの貸し倉庫みたいなところに、1ドルからはじまって2ドル、5ドル、そして10ドルくらいまでの安価な衣料がところせましとぶる下がっていたのです。
 どうも借り手が替わったようです。

 女性用のドレスを倉庫に並べて売る場所になっていました。
 同じ系統の商売には変わりないように見えるが。 でも女性用ドレスというのは倉庫で売るものでしょうかね。
 その程度のドレスということでしょうか。

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2009年1月12日月曜日

雑木林、浸水す[キング・タイド]


● 雑木林を侵略する水


 刈った芝や伐採した木の枝などを雑木林に積み上げて燃やしていた。
 ちょっと気がついて後ろをみると、なんとひたひたと水が迫ってきている。
 これはまずい。
 

● 焚き火と浸水

 雑木林の浸水はさほど驚くべきことではないのです。
 年に数回起こる現象です。
 でも、せっかく燃えかかっている火が消えてしまう。

 前の川、幅は広いのですが川というより水路。
 海まで直線なら10キロほどの長さしかない。
 水源があるわけではない。
 周辺に降った雨水を集めて海に流す役目をしている自然の水路。
 よって、雨の降らないときは干え上がるかというとそういうことはない。
 海までの距離が短いので、潮の満ち引きがある。
 満ちると上流に流れ、引くと海に流れる。
 よって水は塩水。
 つまり、塩水路になる。
 

● 水が焚き火に迫ってきた

 その潮位が大きくなるのが、夏場の新月のとき。
 太陽と地球と月が一直線に並ぶとき。
 夏は陽が高く、それが引力の強さにもなる。
 海水が引っ張られ水面が盛り上がってくる。

 通常なら浸水などしない。
 水路脇の敷地は水圧で盛り上がっており、そこを水位が越えることはない。
 だが、そのため水路から離れた雑木林側は凹状にへこむ形になる。
 ところが、逆側からみるとこれはちょっとまずいことになる。
 大雨がふると、抜けるところがなく雑木林に水がたまり、池になってしまうのである。


● 雑木林の中央に掘られた雨水の水抜き溝を通して浸水してくる


● 溝が川につながっており、そこから水が入ってくる

 そこで、この雨水を抜くために、雑木林の中央に溝を掘って、いわゆる水抜き路を造った。
 これが逆の結果をもたらした。
 この水抜き溝を通して、今度は川の水が浸入してくることになったのである。
 特に、夏場は水位が高いので、それがダイナミックに現れる。


● ついに囲まれた


● 徐々に水位が上がっていく。マグパイが観察中。


● ついに水没する。


● 水は雑木林全体へと拡がりはじめる






● ついに最大水位へと

 写真で分かるように水路側は浸水されていない。
 水圧でこの部分が盛り上がっているせいである。

 左右の隣家はどうしているかというと、凹状の部分に土盛りをして、地盤面を高くしている。
 右隣はそこに車庫や作業場など造っている。
 左隣はきれいに整備してガーデンにしている。
 我が家だけがとりのこされて凹状の雑木林のままということになる。


● 前の日に燃やしたところは若干高いようで、水は回っていない

 でも結構これも面白い。
 夏の風物詩といったところである。
 「おお、入ってきた、入ってきた」と歓声を上げている。
 浸水してくるときは、ジワジワとくる。
 が、ピークをすぎるとアッという間に引いていく。
 食事に気をとられていると、エッツ、という間で水が消えてしまう。
 入ってくるのに1時間半ほど、引くのにものの30分。
 まるで速さが違う。
 あわせて2時間ほどの劇。


● そして、アットいう間に水が引いていった。

 太陽の高い昼時前後に発生するので、朝方や夕方に見ることはない。
 逆方向に太陽と地球と月が並ぶのは真夜中になるが、これは見ようがない。
 でも発生していることは確かである。
 というのは、朝方雑木林に出ると、地面がぬれていることが分かるからである。


● 草の根元はグシャグシャだが、上からみる限り水溜りは消えた。

 焚き火の元は浸水されたが、火は消えなかった。
 けなげに燃えている。


● 溝から川に向かって流れ出ている。

 溝が川につながるところを写真に撮りました。
 今はチョロチョロと川に向かって流れています。
 カメラを振ると下の写真になります。
 溝際には運ばれてきた刈り芝の残骸が堆積している。


● 水の引いたあとの風景

 今回は4日続けて入った。
 これは珍しい。

 調べてみたら、今年は潮位が高くなる「キング・タイド」にあたっているという。
 ニュースがありましたので載せておきます。


★ 25today 2009年1月12日
http://www.25today.com/news/2009/01/post_3051.php

拍子抜けの「キング・タイド」

18年ぶりの高潮位とCSIROの推定だったが
 1月12日はking tideで、シドニー・ハーバーでも珍しい自然現象が展開されるものと楽しみにしたシドニー市民や観光客がハーバーにやって来たが、現実にはいつものようにのどかにヒタヒタと岸壁をひたす波だけだった。

 Nature Conservation Council of NSW(NSW州自然保護評議会)は、月曜日午前9時50分にはミドル・ヘッドで最高潮位が見られ、標準潮位を2m上回るだろうと予測していたが、 CSIRO(連邦科学産業研究機構)は、12日の満潮は現実に18年ぶりの高い潮位で、通常の大潮潮位を40cmから50cm上回るだろうと推定してい た。
 結果的には津波のような目を見はるような現象はなかったが、CSIROのキャシー・マキネス博士は、「King tideは重要な自然現象だ。
 実際、18.6年ごとの潮位サイクルがあり、天文学的な現象で18年ごとに大潮が繰り返される。
 それが今日というわけだ」と 語っている。
 通常の大潮は月2回、新月と満月の時に起きるものだが、年に2回、夏と冬に特別大きな大潮が起きる。
 マキネス博士は、「気候変動で海水面が2060年頃に現在よりも40cmから50cm高くなれば、今日見られる現象が日常的に起きることになる。

 しかも、その頃にはking tideがさらに50cm高くなる」としている。(AAP)


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