● 雑木林を侵略する水
刈った芝や伐採した木の枝などを雑木林に積み上げて燃やしていた。
ちょっと気がついて後ろをみると、なんとひたひたと水が迫ってきている。
これはまずい。
● 焚き火と浸水
雑木林の浸水はさほど驚くべきことではないのです。
年に数回起こる現象です。
でも、せっかく燃えかかっている火が消えてしまう。
前の川、幅は広いのですが川というより水路。
海まで直線なら10キロほどの長さしかない。
水源があるわけではない。
周辺に降った雨水を集めて海に流す役目をしている自然の水路。
よって、雨の降らないときは干え上がるかというとそういうことはない。
海までの距離が短いので、潮の満ち引きがある。
満ちると上流に流れ、引くと海に流れる。
よって水は塩水。
つまり、塩水路になる。
● 水が焚き火に迫ってきた
その潮位が大きくなるのが、夏場の新月のとき。
太陽と地球と月が一直線に並ぶとき。
夏は陽が高く、それが引力の強さにもなる。
海水が引っ張られ水面が盛り上がってくる。
通常なら浸水などしない。
水路脇の敷地は水圧で盛り上がっており、そこを水位が越えることはない。
だが、そのため水路から離れた雑木林側は凹状にへこむ形になる。
ところが、逆側からみるとこれはちょっとまずいことになる。
大雨がふると、抜けるところがなく雑木林に水がたまり、池になってしまうのである。
● 雑木林の中央に掘られた雨水の水抜き溝を通して浸水してくる
● 溝が川につながっており、そこから水が入ってくる
そこで、この雨水を抜くために、雑木林の中央に溝を掘って、いわゆる水抜き路を造った。
これが逆の結果をもたらした。
この水抜き溝を通して、今度は川の水が浸入してくることになったのである。
特に、夏場は水位が高いので、それがダイナミックに現れる。
● ついに囲まれた
● 徐々に水位が上がっていく。マグパイが観察中。
● ついに水没する。
● 水は雑木林全体へと拡がりはじめる
● ついに最大水位へと
写真で分かるように水路側は浸水されていない。
水圧でこの部分が盛り上がっているせいである。
左右の隣家はどうしているかというと、凹状の部分に土盛りをして、地盤面を高くしている。
右隣はそこに車庫や作業場など造っている。
左隣はきれいに整備してガーデンにしている。
我が家だけがとりのこされて凹状の雑木林のままということになる。
● 前の日に燃やしたところは若干高いようで、水は回っていない
でも結構これも面白い。
夏の風物詩といったところである。
「おお、入ってきた、入ってきた」と歓声を上げている。
浸水してくるときは、ジワジワとくる。
が、ピークをすぎるとアッという間に引いていく。
食事に気をとられていると、エッツ、という間で水が消えてしまう。
入ってくるのに1時間半ほど、引くのにものの30分。
まるで速さが違う。
あわせて2時間ほどの劇。
● そして、アットいう間に水が引いていった。
太陽の高い昼時前後に発生するので、朝方や夕方に見ることはない。
逆方向に太陽と地球と月が並ぶのは真夜中になるが、これは見ようがない。
でも発生していることは確かである。
というのは、朝方雑木林に出ると、地面がぬれていることが分かるからである。
● 草の根元はグシャグシャだが、上からみる限り水溜りは消えた。
焚き火の元は浸水されたが、火は消えなかった。
けなげに燃えている。
● 溝から川に向かって流れ出ている。
溝が川につながるところを写真に撮りました。
今はチョロチョロと川に向かって流れています。
カメラを振ると下の写真になります。
溝際には運ばれてきた刈り芝の残骸が堆積している。
● 水の引いたあとの風景
今回は4日続けて入った。
これは珍しい。
調べてみたら、今年は潮位が高くなる「キング・タイド」にあたっているという。
ニュースがありましたので載せておきます。
『
★ 25today 2009年1月12日
http://www.25today.com/news/2009/01/post_3051.php
拍子抜けの「キング・タイド」
18年ぶりの高潮位とCSIROの推定だったが1月12日はking tideで、シドニー・ハーバーでも珍しい自然現象が展開されるものと楽しみにしたシドニー市民や観光客がハーバーにやって来たが、現実にはいつものようにのどかにヒタヒタと岸壁をひたす波だけだった。
Nature Conservation Council of NSW(NSW州自然保護評議会)は、月曜日午前9時50分にはミドル・ヘッドで最高潮位が見られ、標準潮位を2m上回るだろうと予測していたが、 CSIRO(連邦科学産業研究機構)は、12日の満潮は現実に18年ぶりの高い潮位で、通常の大潮潮位を40cmから50cm上回るだろうと推定してい た。
結果的には津波のような目を見はるような現象はなかったが、CSIROのキャシー・マキネス博士は、「King tideは重要な自然現象だ。
実際、18.6年ごとの潮位サイクルがあり、天文学的な現象で18年ごとに大潮が繰り返される。
それが今日というわけだ」と 語っている。
通常の大潮は月2回、新月と満月の時に起きるものだが、年に2回、夏と冬に特別大きな大潮が起きる。
マキネス博士は、「気候変動で海水面が2060年頃に現在よりも40cmから50cm高くなれば、今日見られる現象が日常的に起きることになる。
しかも、その頃にはking tideがさらに50cm高くなる」としている。(AAP)
』
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