● 和太鼓集団 TAIKOZ(Taiko OZ)
2006年に和太鼓集団「道 TAO」が公演しました。
2007年を期待していたのだが、残念なことに来豪はなかった。
が、この年の「ジャパン・デイ」の出し物に「太鼓」というあった。
なんだろう。
興味深々で出かけていった。
最後の出し物であり夕方の4時頃になっていた。
すえつけられた太鼓、和太鼓である。
男女4人。
青年が2人、中年が1人、そして日本の若い女性が1人。
ハッピ姿で、頭にねじり鉢巻である。
衝撃だったのは、その履物。
地下タビである。
それも昨今の忍者風の白地の地下足袋スニーカーではない。
ちゃんとした5枚コハゼの「黒タビ」である。
「土方殺すに刃物はいらぬ、雨の3日も降ればいい」
と言われたその黒タビである。
もちろん最近、日本では「オミコシ担ぎ」がブームで若い女性が地下足タビ姿で登場するのは当たり前であるのだが、それはあくまで日本でのこと。
ここ、海外で5枚コハゼの黒地下タビを見るとは思わなかった。
それも舞台の上で。
この地下足袋の太鼓集団は、シドニーを拠点に活動しているプロだという。
和太鼓の演奏集団が海外を拠点にして、活動している、そんなことまるで思いもよらなかった。
それが「TAIKOZ」
日本では「Taiko OZ」と呼ばれています。
ホームページは日本語訳で読めます。
『
★ TAIKOZ
http://www.synergypercussion.com/taikoz/default.aspx
オーストラリアで最もエキサイテイングでエネルギッシュなプロの太鼓集団です。
その中心に古代練習法を据え、最新の現代曲への融合を行っています。
尺八の空霊な音色に、日本太鼓の腹に響く音力を組み合わせ、西洋と東洋、昔と今の音の和合を開拓しています。
』
何事にも首を突っ込みたがるオーストラリアンの趣味が嵩じて出来上がったレベルかと思っていたらそうでもない。
なんと、すでに日本の国立劇場で公演していた。
『
★ 和太鼓とデイジュリドウの共演「大地千響」
Daichi Senkyo:Japanese taiko and didgeridoo performance
http://www.arts.australia.or.jp/events/0709/daichisenkyo/
世界を股にかけて活躍するソロ太鼓奏者林英哲と共に、国立劇場が太鼓の魅力・可能性を追求するTAIKO3部作の第2弾「大地千響」に、オーストラリアからディジュリドゥ演奏の第一人者Matthew Doyleと、オーストラリア初の和太鼓プロ集団として活躍中の「Taiko Oz」が共演します。
太鼓が放つ圧倒的な響きの世界を追求するこの公演には、他にも津軽三味線の木乃下真市、尺八の土井啓輔、岳神楽保存会なども参加。
太鼓の響きが大地にまで広がっていく、その雄大な轟きをお楽しみください。
日時: 2007年9月1日(土)~2日(日)
会場: 国立劇場・大劇場
』
尺八と和太鼓。
それが海外でプロの演奏集団となっている。
そしてメンバーは地元の外国人。
上の写真でみるメンバーは8人いる。
左端に日本女性がいる。
これが正規のメンバーだとすれば、この公演にきて6曲演奏していったメンバーはその内の4人ということになる。
「日本文化とは、何ぞや」
西洋楽器というのは譜面がある。
よってグローバルに何処でも演奏可能となる。
和太鼓に楽譜があるとは聞いていない。
とすれば、どうやって海外で和太鼓を極めるのか。
答えは一つしかない。
「好きなように叩く」
好きなように叩いて、それが観客に受ける時、これが創作太鼓になる。
基本的に大道芸であるかぎり、観客に受けるかうけないか、これが絶対的要素になる。
少なくとも、趣味で狭い自宅でブッ叩ける代物ではない。
Wikipediaをみてみる。
『
★ 創作和太鼓 Wikipedia
歴史:
昭和になるまで和太鼓はそれを主体とする音楽に発展することはなかったが 、太鼓奏者の小口大八は、胴の長さや直径等の違いで音が違ってくることを利用し、これを組み合わせることによって太鼓をひとつの音楽に仕立て上げた。
これが「複式複打法」とよばれる、大人数によって様々な種類の太鼓が合奏のように演奏されるようになる「組太鼓」のはじまりである。
これが編み出されるまで、他の芸能の脇役を務めることが多かった和太鼓は、複式複打法の確立により、和太鼓を主体とした音楽の地位を確立する。
1998年の長野オリンピックでは2000人による揃い打ちが行われた。
服装、化粧:
半タコ(トランクス)、腹巻き(さらし1反)に半天(半纏、袢纏、法被)というのが一般的だが、創作和太鼓においては、集団によっては、白い着物に赤、紫、紺、等の袴、などである。
女性、少女の場合はアイシャドーや口紅を濃く入れる、等、厚化粧する場合が多い。
創作和太鼓集団の多くは祭りの太鼓からの派生なので、ほとんどの場合、祭りと共通する服装・化粧となる。
楽曲:
和太鼓の楽曲は、古くからの楽曲を元に復元したものや、近現代に新たに作曲されたものがある。
〇小口大八:
『勇駒、信濃田楽、万岳の響き』
長野オリンピックの閉会式等で演奏された。
複式複打法(組太鼓)作品。
〇西村朗:
『星辰神楽』8人の日本打楽器アンサンブルのための(1992年)
国立劇場委嘱作品。
春秋社より楽譜出版。
普段は西洋打楽器を演奏する作曲者と縁の深い「パーカッショングループ72」が初演した。
太鼓以外にも多くの日本の打楽器が登場する作品だが、第2楽章は太鼓ソロ(単式単打法)。
複層リズムによるヘテロフォニーや不規則なアクセントによるケチャの影響など、作曲者の初期作品の語法が和太鼓ひとつで見事に再現されている。
〇佐藤三昭:
『流転織成』和太鼓、津軽三味線、ガムランによるアンサンブル(2006年)
バリアートフェスティバル2006初演。
2006年に和太鼓創作曲100曲を越え今も尚発表を続け、それらの演奏団体は50団体を越える。
閃雷のCD等でその作品を聞く事が出来る。
』
「楽譜」があるのですね。
はじめて知りました。
調べてみると和太鼓集団は、実にたくさんのグループが日本各地に存在している。
祭りから派生したものであるから、その数だけあっても不思議はない。
そして、インターネット上でファン投票も行われている。
どの集団が秀逸なのか、まるで見極めがつかないが、そこそこ信用できるところでは「Yahoo!カテゴリー」がある。
この人気順で調べると、トップ3に「鼓童」「和太鼓 倭」「和太鼓 TAO」が並ぶ。
『
★ 和太鼓集団 - Yahoo!カテゴリ
http://dir.yahoo.co.jp/Entertainment/Music/Instruments/Japan/Taiko/Wadaiko_Groups/
鼓童:
http://www.kodo.or.jp/news/index_ja.html

和太鼓 倭: 奈良県を活動拠点としている和太鼓グループ
http://www.yamato.jp/top/index.html

和太鼓 TAO: 九州拠点に国内外で活動するプロ和太鼓集団
http://www.drum-tao.com/
』
その下には百近い和太鼓集団の名前が出てくる。
そのなかに「Taiko Oz」の名前はない。
「Yahoo!カテゴリー」は日本限定なのかもしれない。
というより、日本ではあまり知られていない、といった方がいいだろう。
海外拠点の集団では、これはいしかたがないことである。

● 和太鼓集団 TAIKOZ(Taiko Oz)
だが「TaikOz」でインターネットを検索すると、英文版なのでこれまたすごい量のデータが出てくる。
Australia各地で演奏旅行をしているようである。
これは調べてみる価値があると思い、早速その中から日本語のものを引き出してみました。
以下、それを年順に並べてみます。
『
★ 25today 2004/10
http://top.25today.com/topics/news/nat0410/comm03.php
オーストラリアの和太鼓集団「タイコズ(TaikOz)」が10月8日、シドニー市内のシティ・リサイタル・ホール・エンジェル・プレイスでリサイタル・コンサートを実施する。
三島由紀夫の著書「太陽と鉄」にちなんで名付けられたタイトル「Sun and Steel」は、TaikOzのエネルギー溢れるパフォーマンスを象徴したもの。
和太鼓奏者・林英哲氏の曲をフィーチャーし、日豪の伝統音楽と現代音楽を融合させる。
ゲストとして、居合道の師範・高木透氏と、アボリジニの伝統楽器ディジュリデュの奏者マシュー・ドイル氏が参加する。
』
『
★ 越前町 | O・TA・I・KO響 2005
http://www.town.echizen.fukui.jp/webworks/ota/otaiko/guest6.html
──────────────────────────────────────────
Taiko Oz たいこず オーストラリア
TaikoOz/TAIKOZ の信条:
陽気で愉快な気風ですべての筋肉と骨で力強くどんどんとたたく伝統的な太鼓とオーストラリアと日本の最新作曲を結び付けることがタイコズの特徴です。
太鼓の持つ力強さと尺八の奏でる禅の心で、タイコズは西洋と東洋、昔と現在の出会いをさぐります。
1997年に創立して以来、4人のメンバーで一年に一度の出演から、年間を通して出演予定がある7人の組織に成長しました。

その上、和太鼓のクラスやワークショップも開講しています。
タイコズのメンバーは佐渡鬼太鼓座、林英哲氏、天野宣氏と演奏したことが何度もあります。
現在、オーストラリアで和太鼓を広めることと太鼓の学校を設立することに専念しています。
』
『
★ ゴールドコースト日本人会ブログ ? Archive 2006/09/30
http://www.jsgc.org.au/blog/index.php?catid=2&blogid=1&archive=2006-10
────────────────────────────────────────────
日本から伝統芸能の世界でかなり高名な大入座の3名の師匠をお招きしました。
日本舞踊の若柳雅康師匠、尺八の吉岡龍見師匠、お琴の富元清英師匠 その本物の素晴らしい舞台に会場を埋めた観客からため息が漏れていました。
また、シドニーから「TAIKOZ」というグループの太鼓の和というグループが和太鼓を引っさげて来てくれました。
エキサイティングな演奏 太鼓の和

そのエキサイティングな演奏に会場を埋め尽くした方々からアンコールまで出る熱演でした。
500名以上の観客の熱い応援に演奏者もノリノリでした。
』
『
★ TnkayaBlog@anywhere... : TAIKOZ 2007年 04月 14日
http://tnkaya.exblog.jp/5162155/
今日はオペラハウスに「TAIKOZ」と言う人達の和太鼓の演奏を聞きに行ってきました。
遠目の席で良く見れなかったのですが、おそらく演者の全員がOZ(みんな足が超長かったので日本人は居なかったと思われます)なんですが和の心意気がとても表現されてました。
なんか周りの観客が『It was amazing!』なんて言ってるのが聞こえると「おほほ、コレが日本の文化ですのよ」と言いたくなっちゃう感じ。
久し振りに祭囃子のようなテンポの音楽にふれ新鮮でした。
日本のお餅つきをモチーフにしたような楽曲も面白かったです。
劇場内は暗くて写真が撮れなかったのです興味があればHPをチェケラ!
』
そして、2007年には先に紹介した、国立劇場での『★ 和太鼓とデイジュリドウの共演「大地千響」』を公演し、私の観た「地下足袋太鼓集団」へとつながるわけです。
この「TAIKOZ」で太鼓修行をした太鼓奏者のサイトがありましたので、援用させていただきます。
『
■ 2004年3月22日(月)19:15
小泉謙一 帰国報告 ミニライブ
http://www.hogaku.com/waon/livebn/0403.html
────────────────────────────────────────
■小泉謙一〈太鼓〉/ゲスト=TAIKOZ(グラハム&マサエ〈太鼓〉)
昨年3月からオーストラリア唯一のプロ太鼓集団「TAIKOZ」に太鼓留学をしていた小泉が1年ぶりに帰国。
今回は「TAIKOZ」のメンバーも来日。
帰国報告とミニライブ決定!
』
『
★ Kenny 通信 2007.09.06 Thursday 和太鼓奏者・小泉謙一
http://blog.kennytaiko.com/?eid=286024
────────────────────────────────────────
今日はオーストラリアにいた時に参加していたグループ、TAIKOZのメンバーと会ってきました。
公演(国立劇場での「大地千響」)も終わって本日帰国したわけですが、その前に飯でもいこうか!という事で会ってきました。
このTAIKOZ(タイコーズ)というグループはオーストラリアで唯一のプロの和太鼓グループでかなりの実力派グループです。
はっきりいって日本人顔負けってなくらいすごいです。
勉強熱心で和太鼓に関する事だけでなく、日本の歴史や日本の過去と現在の文化の違いなど、日本人以上に詳しく知っています。
俺が向こうにいた時も日本の事、和太鼓の事に関してかなり質問攻めにあって、日本人である俺の方がわかってない事もあって結構困った事もありました。
』
● 和太鼓集団 TAIKOZ(Taiko Oz)
今年、2008年には「世界尺八フェステイバルが行われました。
『
★ 世界尺八フェスティバル1日目 2008/07/05
http://ameblo.jp/adelaidian78/entry-10114849434.html
歓迎コンサートは「TaikOz」と尺八の演奏。
和太鼓は海外でも根強い人気があって、その力強さと持久力、アクロバットのようなパフォーマンス性、太鼓と打楽器、尺八、篠笛、マリンバなどとの組み合わせ、古典から現代までの幅広い演奏などからいつも拍手喝采、全員総立ちの歓声を浴びることもしばしば。
「TaikOz」はオーストラリアの中でも最も有名なグループのひとつです。
座った場所は2階で、舞台の右上。なので、舞台がすぐ下に見えて、太鼓の振動が伝わってきます。
近くや左右にいた人たちとお話して(みんなフェスティバル参加者だったので)、演奏を満喫。
アンコールもしてくれて、とにかくコンサートの間中すんごい活気で、エネルギー充満されましたメラメラ
』
最後に「TAIKOZ」のビデオを上げておきます。
『
★ Team building AE Smith style with TaikOz
http://www.youtube.com/watch?v=gxMzsoBEoiI&feature=related
★ Taikoz Student Concert
http://www.youtube.com/watch?v=tE_3RD1gvC0&feature=related
★ Team building AE Smith style with TaikOz
http://www.youtube.com/watch?v=gxMzsoBEoiI&feature=related
★ TaikOz_3
http://www.youtube.com/watch?v=tR4hgVOutxA&feature=related
』
● 尺八と横笛 TAIKOZ(Taiko Oz)
「クール・ジャパン」ではないですが、日本の文化の諸々が世界に羽ばたくとき、古来のくびきから逃れて「創作」という形をとって、新たな息吹・資質を獲得していった和太鼓のケースは、後に続くものたちにとって有効な飛躍のサンプルを提供してくれているように思われます。

● 和太鼓集団 TAIKOZ(Taiko Oz)
きっと、「TAO」や「TaikOz」はそのさきがけを担う集団なのでしょう。
なを、「「林 英哲 with オーケストラ」の魅力」と題して、 「TaikOz イアン・クリワースさんからのメッセージ」というサイトがあります。
TaikOzのメンバーのものなので是非とも抜粋で載せようと思ったのですが、末尾に「このホームページに掲載の文章、写真、イラスト、映像の無断転載、無断使用を禁じます。」とありましたので残念ながら、希望はかないませんでした。
昨今はソフトのプログラムですら「オープン仕様」になっているのに、ホームページの転載ができないとは、ちょっと珍しい。
なら、ホームページなどに載せないで、手紙ですませればいいのにと思うのだが。
【追記:25todayより】
『★ 25today ニュース/コミュニティー
http://top.25today.com/topics/news/nat_new/53.php
新潟県・佐渡島を拠点に、1981年の結成以来「ワン・アース・ツアー」と題して世界各地で演奏活動をしている太鼓集団・鼓童。
歌舞伎俳優・坂東玉三郎氏との共演や海外アーティストとのコラボレーションなど、その幅広い活動は国内外で高い評価を受けている。
2009年2月中旬、鼓童の中心メンバー5人が来豪し、オーストラリアの太鼓グループTaikOzと共演を果たした。
古くから太鼓は共同体のシンボルとして、その音が聞こえる範囲はコミュニティーの一員という考えがあるという。
そこからヒントを得て「それなら世界中で太鼓を演奏して仲間を増やそう」と、鼓童は積極的に海外に活動の場を広げている。
海外で日本の和太鼓が親しまれていることについて、鼓童最年長メンバーの藤本吉利さんは「全身で打つ打ち姿も楽しんでもらえるのかな。いろんな要素がありますから」と語る。
藤本さんは、88年のシドニー誕生200周年の際にクルーズ船上で演奏を披露して以来、2度目の来豪だ。
TaikOzとの縁は深く、鼓童の前身である「鬼太鼓座(おんでこざ)」にTaikOz創立メンバーの1人、ライリー・リー氏が参加していたことや、最近ではTaikOzメンバーの2人が来日し、鼓童の元でそれぞれ伝統芸能の踊りを学んでいる。
実際の舞台は、太鼓を中心に笛やパーカッションが加わり、唄あり踊りありで、そのどれもが人々を惹きつけて飽きさせない。
“日本の”または“太鼓の”という言葉でくくれない彼らだからこそ「日本の伝統芸能を受け継ぐ太鼓集団」として、その技術と芸術性で世界の人々を魅しているのだろう。

左から山口幹文さん、藤本容子さん、齊藤栄一さん、小島千絵子さん、藤本吉利さん(写真:西田太郎(鼓童))
』
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